中学生の性の違和感と自己理解の揺らぎを描いた短編「蝸牛」で注目された新鋭・都楳勝が手がけた作品で、現実と夢が交じり合うなかで展開する幻想的な物語。大手芸能事務所のレプロエンタテインメントが主催する映画製作プロジェクト「感動シネマアワード」でグランプリを受賞した企画を映画化した。血まみれで息を切らし「かくまってほしい」という男ショウと出会ったタエコ。生気がなくうつろな瞳をしたタエコは、そんなショウに「私の最期をきれいに撮ってほしい」と頼む。ショウは何から逃げてきたのか、タエコの頼みは本当に彼女が望んでいることなのか。お互いにわからないまま、2人は時間を共有するうちに、それぞれの感情と記憶が入り混じった奇妙な世界に引き込まれていく。主演は、テレビドラマ「隣の男はよく食べる」や映画「輝け星くず」など出演作が続く山崎果倫と、ドラマや映画を中心に活躍しながら「君に幸あれよ」では映画監督にも挑戦した櫻井圭佑。
夢の中評論(2)
(前の作品 「エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命」→この作品「夢の中」→次の作品「辰巳」)
fansvoiceさまのご厚意でオンライン試写会で見ることができました。
60分ほどの準短編ものと言える作品で、短い時間の中で夢の中か現実か見分けのつきにくい中で男女2人によるやり取りが続く映画です。
ただ、60分と短いのがやはり致命的に厳しく、60分でこの映画の趣旨を理解するのはかなり難しいのではないのかな…といったところです。事実、オンライン試写会は時間に対して1.5回見る程度の時間がありますが(つまり、0.5回分=この映画なら30分くらいは巻き戻しができる)、公式サイトのキャラクタ相関図ほかを見ても「何を述べているのだろう」といったところがわかりづらく、かなり人を選ぶかな(本映画はミニシアター中心?)といったところです。
また、「オンライン試写会」特有の問題点として、この映画では後半30分ほどで救急・消防のサイレンが鳴るシーンがあるのですが(いわゆる「ピーポー」の音のこと)、そのために自宅で音声をあげてみることができず(この祝日に下手なことをやると警備会社の人がきそう)、もちろん映画館で見る場合はそういった勘違いはおきませんが、実際にリアルで「イヤホンなどが必要なのかな」といった趣で音声を小さくせざるを得ないところがあり(後半30分は大半そうなる)、そこが「オンライン試写会特有の論点で、それに付随してストーリーを理解しがたい」といった点に連鎖的につながるのですが、それはオンライン試写会特有の問題で、あまり引いていません。
一方ではじめての監督さんやそれに準じる監督さんの準短編的に60分ほどで見られる映画でいろいろな解釈ができるのは確かで、今日は無料のオンライン試写会でしたが実際に映画館でまた見てみようかな、といったところです。
採点に関しては以下まで考慮しています。
----------------------------------------------------------
(減点0.3/事務管理に関する考察が雑)
事務管理(697以下)は、本人の意思がわかるか推知できる場合はそれに従う必要があります(697以下)。もちろん、それが公序良俗に反する場合などはそれを無視して管理者が事務管理を継続できるというのが判例ですが(大審院のころの古い判例)、この映画はそれに該当するものではなく、やや解釈が微妙な気がします。
もっとも、事務管理は不当利得、不法行為と並んで「条件を満たすと勝手に発生する債権」であり(この意味で、契約や賃貸借ほかとそもそも異なる)、厳密な解釈まで求めるのも酷なので(ここまで突っ込むのも法律系資格持ちだけか)、採点幅としては考慮しています。
----------------------------------------------------------
映画 #夢の中 (2023年)鑑賞
かくまってほしい男ショウと私の最期をきれいに撮ってほしいと頼むタエコ
この2人のギリギリで不安定な関係が、夢と現実が交差する時空の中で少しづつ進む
映像と音響もこの映画の不思議な魅力ですね
@FansVoiceJP さん試写会ありがとうございました