「勝手にしやがれ」のジャン=リュック・ゴダールの長編第3作で、“登場人物が歌わないミュージカルコメディ”という発想に基づいて制作されたラブコメディ。キャバレーの踊り子アンジェラは一緒に暮らす恋人エミールに、今すぐに子どもが欲しいと言い出す。エミールはそんな彼女に戸惑いを隠せない。そこへ、アンジェラに想いを寄せる青年アルフレッドが現れ……。ゴダール監督の前作「小さな兵隊」に続いてアンナ・カリーナがヒロインを務め、「勝手にしやがれ」のジャン=ポール・ベルモンドがアルフレッド、「いとこ同志」のジャン=クロード・ブリアリがエミールを演じた。「シェルブールの雨傘」などの名作曲家ミシェル・ルグランが音楽を担当。
女は女である評論(8)
シャルル・アズナブールの歌、ジャンヌ・モローの特別出演、セリフの中で直接触れられるタイトルはもちろん、ヌーヴェル・ヴァーグ感、内輪受け感が満載。この頃は、ゴダールとトリュフォーは仲が良かったんだね。
登場人物が歌わないミュージカル・コメディという発想が素晴らしい。三角関係をサラッと描いでいてアンナ・カリーナがキュートで魅力的。
2020-88
ま、エスプリの効いたシーンは散見されるものの、全体として若書きの感は否めない。即ちまるごとアンナ・カリーナへのラブレターなんでしょうね。去年の暮に亡くなった記事を拝見しました。合掌。
同語反復のようなタイトルは、「君はアンファム(infâme 恥知らず)だ」と言われたアンジェラが「アン・ファム(un femme)じゃなくて、ユヌ・ファム(une femme 女)よ」と受けたやりとりから来ていたんですね。
音楽の使い方に色彩に観客に向けての語りに繰り返しの演出と今、観ても新しいし60年代に撮った現実が凄い。
今の時代で斬新で画期的な映画を意識して作ってもゴダールっぽい作品になるのは承知な事実!?
やさぐれたチンピラ風情のJ・P・ベルモンドがやはり格好良い。
色づかいや画面構成のセンスは今見ても色あせていない。
しかし各所の音楽のつかい方はどうにも…。ぶつ切りでシーンが狂騒的になりすぎた。
しかし1961年ということを考えたら斬新すぎなシーンの数々。
観客への語りかけ、他の映画や役者についての言及、ヌーベルバーグ的楽屋落ち…等々。
たいして笑えないコメディだが、まあアンナ・カリーナが美しいのでそれでいいのだ。
ビターだが味わい深いシャルル・アズナブールのシャンソンがこの映画のテーマとリンクしておりました。