ポール・ニューマンが主演を務め、権力に屈することなく脱獄を繰り返す男の生き様を描いた犯罪ドラマ。酔ってパーキングメーターを破壊し、器物破損罪で刑務所に送られたルーク。囚人たちの間にあるヒエラルキーを無視する彼は囚人たちのボスであるドラグラインの怒りを買い、ボクシングで決着をつけることに。ルークは大柄なドラグラインに打ちのめされながらも決して屈せず、囚人たちから一目置かれる存在となる。ある日ルークの母の訃報が届くと、所長は彼の脱獄を危惧して懲罰房に入れてしまう。ルークは横暴な所長や看守たちに反発するかのように脱獄を繰り返すが……。ジョージ・ケネディがドラグラインを好演し、1968年・第40回アカデミー賞で助演男優賞を受賞。実際に刑務所に収監された経験を持つドン・ピアースの小説を原作に、後に「悪魔の棲む家」「ブルベイカー」などを手がけるスチュアート・ローゼンバーグ監督がメガホンをとった。
暴力脱獄評論(20)
戦場で人間の真実を知り、他人や社会、さらには自分自身にすら失望した男が選んだ 笑い続ける という生き方は社会に抑圧されて生きる全ての人間の希望だと思う。
個人的には同じく刑務所物の大傑作である ショーシャンクの空に、カっコーの巣の上で、を超えるハイパー傑作
ヒーローになる人とヒーローを求める人。
奴隷にならない人と奴隷になる人。
前者はルーク、後者は私達。
でも、ルークは特別な人間ではない。
刑務所の様なこんな世の中に生きていても、本当はみんなルークの様に生きることができるのかもしれない。ひとりひとりが、ヒーローを待つのではなく、ヒーローになればいい。ひとりひとりが、従うのではなく、自分の道を歩けばいい。その事を言う為に、ルークはスクリーンに現れたのだと思います。
ポール・ニューマンがタフで不敵な笑顔が魅力的だった。そんな彼が2回の脱獄の後ひどい仕打ちにあって、卑屈なヘラヘラ笑いを浮かべるようになってしまったのはとても応えた。ところが、ひょうひょうと車を運転して軽々と脱獄してしまうのはすごくびっくりした。
何回脱獄しても、服を早くなんとかしろよと思っていたのだが、とうとう最後まで着替えることをしなかった。
年老いたお母さんが、刑務所を訪ねて来た時、寝台のあるキャンピングカーみたいな豪華な車かと思ったら、去っていく場面でピックアップトラックの荷台にベッドをおいていただけで、切なかった。
「根性だけではどうにもならない」「お前には根性もない」と囚人仲間が口論するところが面白かった。タフでありたい、でもタフなだけでもどうにもならないというのが人生や世界の厳しいところだ。
ゆで卵、目を白黒させて食べるシーンが忘れられない